- 会話力を高め、信頼性を高めたい
- 自分の価値観を認識し、上手に表現したい
- 相手に合わせた会話ができるようになりたい
「クリティカル・トーキング」個人的な総合評価と書評
2018年2月の月刊ビジネス選書です。
全330ページ。
読んでみると、和訳が難しいというか回りくどいというか…ちょっと読みづらさを感じるところがありましたが、図解されている部分や具体例が多かったのである程度補強できたように思います。
なので、読みやすさとしては☆3で。
ただ、サラッと字面を読んだだけではなかなか落とし込めないです。
身につけたいのであれば、自分に置き換えてみて、今後どうすればいいのかまで考えていく必要があると思います。
「クリティカル・トーキング」は、本物の会話を生み出すための8つの原則について書かれた本です。
8つの原則については以下の通り。
- 自覚の原則
- 知識の原則
- 反映の原則
- 知覚の原則
- 準備の原則
- 表現の原則
- 発見の原則
- 相互理解の原則
後半長くなってしまったので最初に端的にまとめると、
- 自分の交流スタイルを知るべし
- 相手の交流スタイルも知って、生かすべし
- 会話の目的を認識し、目的達成のために会話を進めるべし
- より効果的な質問をすべし
- 粘り強く、100%意識を集中させて相手の話を傾聴すべし
というところでしょうか。
自分の交流スタイルは何なのかを判断できるチェックシートもあるので、自分の傾向を知るためにもいいかもしれませんね。(ちなみに私は、「相互理解者」も少し入った「構築者」でした)
交流スタイルを知って相手の話を傾聴し、目的達成に向けて会話を進める。
簡単そうに見えて、実践するのは難しいですよね。
ただ、「知らない」よりは「知っている」方が一歩前進しています。まずは知識をつけることが大切なんです。
「クリティカル・トーキング」は、本屋で売られている会話術より読みにくいですが、小手先のテクニックだけではない本質的な部分も書かれた本です。
本を読みなれている人はそうでない人よりもまだ抵抗なく読めると思うので、会話力をもっと高めたい人は手に取ってみてください。
「クリティカル・トーキング」の内容、レビューまとめ
●本物の会話のために不可欠なスキル4つ
- 自分の考えや判断を自分で認識し、保留する
→会話に参加しながら、自分の言動が相手にどんな影響を与えているかを知る
→自分の考えや判断を一度脇に置き、別の視点に立って物事を考える時間を取ること
- 相手に抵抗感を与えることなく自分の気持ちや考えを表現する
→対立や拒絶ではなく、協力や貢献を誘うように表現することを意識する
→表現は自分の意図が表れやすいので、どんな意図をもっているのか自分で認識する必要がある
- 質問することで理解を深める
→優れた質問は、お互いの理解が深まり、敬意が生まれ、関わりを強くすることができる
- 相手の非言語的なコミュニケーション(表情や身振り手振りなど)は何を伝えているのか意識を向ける
→実際に出てきた言葉だけでなく、ボディランゲージや表情に注意を払っておく
●本物の会話をするための8つの原則
- 自覚の原則
- 知識の原則
- 反映の原則
- 知覚の原則
- 準備の原則
- 表現の原則
- 発見の原則
- 相互理解の原則
自覚の原則=自分の会話に作用している効果を理解し、意識すること
●会話が今どんな状況にあって、どこへ向かって流れているのかを知る
●自分が発した言葉から相手はどんな対応や表情をしたのかといった結果を注意深く観察し、「自分が相手に何を伝えていたのか」を振り返ってみる
→やり取りの中で意図せず悪い流れ(下降スパイラル)になっていないかどうか気を付ける
→悪い流れに陥らないためには?
→「悪い流れ」と感じたら、自分の発した言葉のどのあたりが相手に悪い印象を与えてしまったのか素直に尋ねること
→1対1でなく会議などの場でも、悪い流れだと気づいたら「ストップ」をかけることも可能
良い流れ=敬意・発見
尋ねる、傾聴、共有、学ぶ、変化
悪い流れ=敬意の欠如・防御
否定、服従、批判、正当化、非難、軽視、脅し、言い逃れ、回避、離脱、報復
会話の中で相手の様子を注意深く観察し、「良い流れ」か「悪い流れ」どちらに進んでいるか意識しておくことが大切
●本物の会話は「反応的」ではなく「意図的」
→成り行き任せではなく、選択の余地があり、時間をかけていくもの
●コミュニケーションの93%がボディランゲージや口調など、非言語的なものから行われていることを知っておく
知識の原則=知っている知識を実践すること
●知っているだけでは不十分
→実践することで身につく
→実践することで知っていることと知らないこと、できることとできないことが明確になる
●自己保存=自分の保身に走ること
自己保存に走ると、望ましい結果の妨げになりやすい
→闘争か逃走という結果につながる
●対話を通じて「意味」を共有する
「本物の」会話とは、共有される意味を制限なく生み出すことであり、そうした意味は共通の敬意や信頼性、能力の向上のために学ぼうとする欲求から生まれる
P80
共有される意味を制限なく生み出す=会話のゴール(目標)を達成するために、会話に参加している全員が自分なりの意見を周囲を恐れることなく素直に出しあえること
→お互いに「敬意」や「信頼性」、「会話を通じて他者を理解しようとする意欲」がないと成り立たない
・敬意は、一番重要
敬意の根底には、「反映の原則」がある
→相手に対してこちらが敬意を持っていないと、相手も敬意を持った反応をしてくれない
・信頼性は、正直、裏表がない、誠実ということ
→どんな選択をするかで決まる
→言動が一致しているかをチェックすると「本物」かどうかがわかる
・欲求
必要なスキルを学び、高めることで意欲を高めることができる
→まずは何が必要かを知り、実践することが大切
反映の原則=相手のスタイルに応じて行動すること
●自分がこうしてほしいと思う形で接するのではなく、相手の望む形で接した方が良い
→相手が映しているものを意図的に反映すれば、会話をより良いものにできる
→4つの交流スタイルを知っておくことで、相手に合わせた交流スタイルを取ることができる
●4つの交流スタイルとは
始動者、発見者、相互理解者、構築者の4つ
結果や行動を求める、相手を細かいところまでコントロールしたい、厳格、大胆な決断ができる、迅速に問題を解決する、「物事を成し遂げる」ことが一番の目的、人より職務優先、弱々しい人・準備を怠る人・意欲をかける人に対して苛立ちを感じる
声や雰囲気=力強い、攻撃的、傲慢、無愛想、遠慮がない
テンポやペース=速い、単刀直入、せっかち
見た目=攻撃的、アイコンタクトが長時間、直接的、重々しい、パーソナルスペースが狭いので相手の目の前に行くこともある、身振り手振りが大きい
会話スキルを向上させるための対策
- 思い込みを外し、相手の話をよく聞く
- 他者へ積極的に質問し、アイデアを求める
構築者
評価や認知、敬意を得ようとする、注目されることが好き、他者との交流を好む、社交的、楽観的、熱心、多くのアイデアを持っている、物事をやり遂げることが苦手、口数が多い、ルーティンワークが苦手、直観力がある、自分のアイデアを却下・非難・無視する人に対して防御的、もしくは攻撃的になる
声や雰囲気=変化に富む、自己表現が豊か、陽気
テンポやペース=早口、他の人に割り込むことも多い、隠喩やたとえ話、ストーリを使って主張を通したり、問題を説明したりする
見た目=アイコンタクトに変化があるが、人の目をまっすぐ見ることに苦はない、相手との距離が近く、ボディタッチもある、身振り手振りが大きい、表情が生き生きしていて豊か(わかりやすい)
会話スキルを向上させるための対策
- 自分のアイデアを表現するときは、正確に簡潔にまとめる
- 相手が自分の話を理解しているか時々確認する
- 他者の話に割り込まず、傾聴に徹する
他者との協力、共同作業を求める、チームで動くのが好き、平穏で調和のとれた環境を好む、人間関係が最優先、行動を起こす前に参加するメンバーの合意を望む、下された決定に不満があっても周囲に合わせて同調する、大きな決断は他社に任せる、協力的、几帳面、粘り強い、勤勉、変化に対して不安、十分に調べてからでないと行動できない、物静か、繊細、完璧主義者になりやすい、厚かましく攻撃的で無神経な人に苛立ちを感じる
声や雰囲気=自信は控えめ、親しみやすい
テンポやペース=ゆっくり、静か、穏やか
見た目=あたたかで友好的、アイコンタクトは途切れがちで、あまり直接目をあわせない、知り合いでなければ、少なくても腕を伸ばした長さの2倍程度の距離を空けたがる、身振り手振りは使わない、感情をあらわにしない、表情は豊か、共感的で思いやりがある
会話スキルを向上させるための対策
- 遠慮せず自分の考えや知識を発言し、表現する
- 変化を不安に感じることを自覚したうえで、不安に対処するために必要な情報を得るために率先して質問、行動する
厳密さや正確さを追求、データや情報分析のもと論理的な結論や意思決定にたどりつく、一人作業を好む、じっくり考えて仕事を進める、速さより確実性を求める、完璧主義者、分析しすぎて行動を起こせなくなりがち、用心深い、忍耐強い、勤勉、几帳面、、性急に判断したがる人や質問に答えようとしない人、個人攻撃しすぎる人に苛立ちを感じる
声や雰囲気=慎重で改まった口調、自分のアイデアや意見に異議が唱えられると懐疑的で冷笑的になることもある
テンポやペース=落ち着いている、ゆっくり、注意深く言葉を選び、考えを組み立てる、穏やか、単調
見た目=考えているときは視線を外すが、自分が正しいと思っていると直接視線を合わせる、少なくとも、腕を伸ばした長さの距離は保とうとする、他者がパーソナルスペース以上に入り込んでくるときは不愉快、身振り手振りを使わない、ポーカーフェイス、批判されているときは防御的、自分の正しさに自信がないときは言い逃れする
会話スキルを向上させるための対策
- 他者と作業するときは自分の考えを認識し、保留しておくことをもっと意識的に行う
- 他者の考えを語るよう促すための質問を積極的にしていく
●相手がどのスタイルであるかを見分け、相手のスタイルに合わせて自分を変化させて対応すると、その会話はより効果的なものになる
知覚の原則=自分が考えていること以外に目を向けること
●物事のとらえ方は人それぞれ
→感情的な反応や行動、結果は、自分自身の解釈に原因がある
→意識的に自分の頭にあることを認識することで、感情的知性が高められる
→感情を認識することで、自分の本当に考えていることを吟味するのに良い手掛かりになる
→自分の中にある否定的な考えではなく、あえて肯定的な考え方、捉え方を選ぶようにする
→理性的になった状態で、相手との交流が持てるようになる
→自分の感情を変えたい場合は、自分自身の思考を変える必要がある
●相手に対する思い込みもまた、コミュニケーションといった行動への影響を生じさせる
→自分の思い込みを認識することが大切
→実際のデータと解釈を別にして考えることが大切
→「この状況について自分は何を考えているのか」「自分の思考は正しいか?」「自分は何を知り、何を知らないのか?」
準備の原則=自分の意図を効果的に表現すること
●自分がしたい会話について時間をかけて考え、トラブルになりそうな話題について慎重に目的をもって準備すれば、望む結果を作り出すことが可能
・沈黙する=結果が出ない
→自己正当化によって「沈黙」「何も行動しない」原因になりうる
→起こった出来事と、「考えて、感じたけども口に出さなかった」ということを書いてみる
→もし口に出していたら、どんな利益があったか考えてみる
・会話の中で自分が達成したい目的を持つことで、会話を軌道に乗せることができる
→相手にも同意を得ておくとスムーズ
・感情的、否定的な意味合いを持つ言葉や発言を肯定的に言い換える
ex.問題→挑戦、異議→懸念 など
表現の原則=自分が何を生み出したいかを考え、望む会話をするための表現方法を実践すること
●「私」の視点から「私たち」の視点に変えていく
→私視点:対立、論争、強要をもたらしがち
→私たち視点:共同作業、協力、他者への貢献につながりやすい
●口調、テンポ、音量、、間の置き方、アイコンタクト、身振り、距離の近さ、姿勢を意識するだけでも表現力が豊かになる
●明確に、具体的に望むことを伝える
発見の原則=相手に安心や敬意を感じてもらえる質問をしながら理解を深めること
●否定的な質問ではなく、肯定的な質問をすること
→「答えはこれだ」という思い込みを捨てて、好奇心と誠実さを持つことが大切
●質問をを変えると、結果が変わる
●相手の言葉を踏み台にして、より深く突っ込んだ質問をすることで本質に近づける
→辛抱強く少しずつ近づく
→「質問」「要望」「反映」「推測」「要約」の5つを用途によって使いこなせるようになると良い
相互理解の原則=効果的な傾聴で相手の感情的な反応を和らげ、その感情の裏にある意図を理解すること
●「今その瞬間の会話に100%没頭する」ことを学び、実践する
→集中して耳を傾ける
→相手の話に対して自分の考えや判断をせず、ひたすら耳を傾ける
→非言語的な表現にも注意を払う
●感情の背後にある「本当の意味」を突き止める
「クリティカル・トーキング」目次、著者
目次
Part 1フェイクトークを克服する
1.眠れない理由
Part 2「本物の」会話のための8つの原則
2.自覚の原則
3.知識の原則
4.反映の原則
5.知覚の原則
6.準備の原則
7.表現の原則
8.発見の原則
9.相互理解の原則
Part 3「本物の」会話に到達する
10.前進
Appendix 「本物の」会話チェックシート
著者
●ジョン・R・ストーカー(John R. Stoker)
20年以上にわたって組織開発と組織改革に深くかかわってきた人物。この仕事を通じて、ジョンは多くの会社と幅広く協力し合い、素sれらの会社が能力を拡大して効果を高め、より良い結果を生み出せるように支援してきた。
ジョンの仕事が重点を置いているのは、職業人やリーダーとしての個人の能力や効果を高めることだ。彼は人々が避けてしまいがちな難しい会話をする方法を教えることによって、職業人たちが本当に大事な事柄について話すのを手助けしている。
ジョンが経験を持っている分野は、リーダーシップ、変革管理、対話、批判的思考法、紛争解決、感情的知性といったものだ。全米各地の会社や外国の会社がこれまでジョンに訓練やコーチングを依頼してきた。過去には、刑事事件専門の開業弁護士として働き、夏にはグランドキャニオンで急流下りのガイドをしていたこともある。
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