- 小学校・中学校の先生で、子どもたちの読解力を上げたい
- 塾や予備校に行かなくても、自宅学習で優秀な成績が取れる子に育ってほしい
- 自分の読解力がどれほどかを知り、磨きたい
- 読解力が上がる授業はどのように組み立てるといいか参考にしたい
「AIに負けない子どもを育てる」個人的な感想
新井紀子さんの「AIに負けない子どもを育てる」は、2019年ビジネス書大賞を受賞した前著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を発展させ、「じゃあどうやって読解力を高めていくのか?」「そもそも、自分は読解力がどれぐらいあるのか」というところや、家庭や学校での指導ポイントなどがまとめられた書籍です。
「AI」とタイトルにはありますが、AIについては最初の方でちらりと出てきたぐらいで主役ではないと感じました。
本書には、簡易のRSTテストが70点満点で載っています。これが想像以上に熱中できて楽しかったですね。
本を読むのが好きでずっと読んできているので、正直「読解力は大丈夫やろ~」と思いつつRST受けてみたんですが…
結果は70点満点中40点。
特に、「具体例同定」の2つのテストが壊滅的に悪くて、20点中4点という劇的に残念な結果になりました。
あああ…なめてかかって本当にすみませんでした。汗
どおりで、国語や英語は好きだったけど、理科数学は苦手だったわけだ。
応用問題や文章問題、証明などが特に苦手だったんですが、言われてみればたしかに、「そもそもこの問題は何を言っているのか?何を問われているのか?」がわかってなかったと思います。
定義をよく読まず、そして理解せず、「なんとなくこんな感じ」とキーワードを拾ってざっくり読み、今まで過ごしてきたということがこのRSTテストを受けてみて明確になってしまいました。
あ~…書評ブロガーとして今知れてよかった。(笑)
他の要素に関しては平均点以上で満点もあったので、とにかく「具体例同定」の力を今からでも徐々に高めたいと切実に思いました。
そのための第一歩として、「わからない意味の言葉が出てきたら、ちゃんと調べる」という、まるで学生時代に戻った気持ちで本を読むことから始めたいですね。
まずは私自身も使えて、さらに子どもが小学生になったときにわからない単語が出てきたらスッと調べられるように、小学生でも使いやすい国語辞典(大辞泉的なもの?)を入手することにします。
幼児期・小学校低学年・小学校中学年・小学校高学年それぞれにできる「読解力アップ」のためのポイントなどもとても参考になったので、2歳4歳の息子たちに徐々にできる範囲のところから実践していきたいです。
また、この本は子どもを持つ親以上に、学校の先生にもぜひ手に取ってほしい一冊だと感じました。なぜなら、この本の立ち位置として、親視点というよりどちらかというと「小学校の先生」視点で書かれている部分が多かったからです。
実際どんなふうに読解力を上げるための授業を進めていくのか、めちゃめちゃ具体的な一例が載っています。
たとえば、題材は「オセロ」。このオセロを使って、読解力を高めていく実体験型授業です。(オセロでなくても、二種類の色のものがあれば代用ができます)
授業の流れを一読して、これは子どもたちにとって面白く、かつ学びになり、さらに印象に残る授業じゃないかなと個人的に感じました。
このオセロの問題は、「正しく伝える、無駄なく正確に文章で伝える」という目標を持った小学校4年生国語の授業ですが、ほかにも「言葉のとおりに図形を並べよう(小学校4年生算数)」「偽定理を探せ(中学2年生数学)」といった授業内容についても詳しく書かれています。
また、小学校中学年向けに考案された、文章構造を理解する遊びも紹介されています。この遊びは、家庭でも楽しみながら取り入れられるので、言葉遊びの一環として取り入れてみたいですね。
ほかにも、小学校低学年、中学年、高学年における指導のポイントなども書かれているので、もちろん親が読んでも「なるほど」と思う部分は多数ありますが、先生であればさらに参考になる点が多いと感じます。
著者が考える学校におけるIT活用法も、ぜひ先生に読んでもらってできるところから取り入れてほしいなと保護者の視点で思いました。
「紙媒体」ではなく、「ネットを使って情報を充実させる」という方向へ少しでも移行できれば資源削減にもなりますし、経費も削減できますし、様々な国籍や言語、ルーツを持つ家族にも対応できるという点からしても、これからの日本に必要になってくるのではないでしょうか。
さらに、災害時の対策としても、「IT」は使えるということを知ることができました。
やはり学校改革のためにも、ぜひ先生方には一読いただきたい一冊です。
「AIに負けない子どもを育てる」の内容や学んだこと
それでは、ここから本書の内容や学んだことについて、少しではありますが、取り上げてアウトプットしていきます。
購入の参考になれば幸いです^^
RST(リーディングスキルテスト)でわかる読解力に関わる6つの要素とは
- 係り受け解析=文の基本的なつくりを把握する力
- 照応解決=「これ」「それ」など、指示代名詞がさすものや、省略された主語・目的語を把握する力
- 同義文判定=2つの文の意味が同じであるかどうかを正しく判定する力
- 推論=小学校6年生までに学校で習う基本的知識と、日常生活から得られる常識を動員して、文の意味を理解する力
- イメージ同定=文章を図やグラフと比べて、内容が同じであるかを認識する力
- 具体例同定=ことばの定義を読んで、それと合う具体例を認識する能力
AIに負けないためには、特にどのスキルを磨けばいいか?
★同義文判定、推論、イメージ同定、具体例同定
ただし、この4つは「係り受け解析」「照応解決」など基礎基本の力が備わっていないと、伸びない
→結局、どのスキルも磨くべき
読解力を上げることによるメリット
【子ども】
- 成績が全体的に上がる
- 塾や予備校に通わなくても、自学自習で偏差値の高い学校に入れるようになる
- 自己肯定感が上がる
- 文章を要約するのが上手くなる
- 人に伝わる話し方ができるようになる
【大人】
- 自己肯定感アップ
- 生産性アップ
- 文章を書くスピードが劇的に向上
- 仕事の幅が広がる
- プレゼンテーション力アップ
- AIに仕事を奪われない
読解力を上げる方法
【子ども】
- 穴埋め問題やプリント学習、ドリルの量を減らし、板書などを正確にある程度の速さでとれるようにする
- 子ども向けの新聞の要約を200文字程度、感想を200文字程度でまとめる
- 何となく知っていることばを、定義として改めて導入する など
【大人】
- ふだんの生活の中で、ゆっくりでも正確に意味を理解しようと心がける
- わからないことがあったら、スルーせずにその言葉の定義を調べて理解する
- 本を読み、要約する時間をつくる など
3.「AIに負けない子どもを育てる」まとめ
RSTテストで一喜一憂せず、結果を受け止め、今後の読み方に気を付けていくことが本当のスタートだと本書には書かれています。
私自身も、今後本を読んでいく中でさらにリーディングスキルを磨いてインプット&アウトプット力を高めたいので、意識していきたいと改めて感じました。(特に具体例同定の力)
「本読むの好きだし、読解力には自信がある」というあなたこそ、もしかすると私と同様に致命的に弱い部分があるかもしれません。
学生時代、算数や数学(特に、応用問題や文章問題、証明)が苦手だった人や、本をサ~ッと流し読み(キーワードの拾い読み)するクセがついている人、また、「小テストとか、暗記モノだったら高得点を取れていた」という人ほど、「読めてない」可能性大です。
「答えはここに書かれているし、めっちゃ短文なのになんでわからないの!?しかも、間違ってもた!!汗」
という、ふだんは感じない不思議な状態を味わってみたいあなたはぜひ、本書を手に取ってRSTテストを受けてみてくださいね^^
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